GATA × Web3 AI AMA まとめ
8月1日にGATAがホストとなり開催されたAMAがあり、今回の記事ではその内容を翻訳&要約してお届けします!
1.AMA概要
8月1日に開催されたXスペース「AI Infrastructure Ecosystem AMA」では、Sui における AI・インフラ・エコシステムの成長というテーマでWeb3 AI 領域を牽引する5プロジェクトの共同創業者やリードが集結。
ホストは台湾のリサーチ DAO Boba DAO、登壇者は以下のとおり。
役割 | プロジェクト | 登壇者 | 主な領域 |
---|---|---|---|
Co-host | GATA | Oliver(Co-Founder) | 分散型 AI 推論・学習インフラ、Gata GPT |
Speaker | Automa Network | George Antonio(Co-Founder/CTO) | TEE × 分散 GPU による機密計算インファレンス |
Speaker | Navi / Astros | Carl(Business Lead) | Sui 上の流動性ハブ/クロスチェーンアグリゲータ |
Speaker | The Agent AI | Julie | AI エージェント基盤・価格予測 Alpha X |
Speaker | Talis | Ben | NFT/ゲーム向けツール(今回は聴講のみ) |
2.なぜ Sui エコシステムか
共通認識は「開発者体験とオブジェクト指向設計」。
- 高スループット・並列実行
- Move 言語とオブジェクトモデルにより低レイテンシ&高 TPS を実現。Alpha X のような“1日数万件のオンチェーン信号”も許容する。
- Move 言語とオブジェクトモデルにより低レイテンシ&高 TPS を実現。Alpha X のような“1日数万件のオンチェーン信号”も許容する。
- 公式ドキュメントとファウンデーションの手厚い支援
- Carl は「Sui Foundation からの継続的なハード・ソフト両面のサポートが現在のプロダクト群を可能にした」と強調。
- Carl は「Sui Foundation からの継続的なハード・ソフト両面のサポートが現在のプロダクト群を可能にした」と強調。
- 実験を歓迎する文化
- Julie は「エージェント駆動の新しい UX を受け入れる稀有なチェーン」と評価。
3.各プロジェクトの核心プロダクト
- Gata GPT – 分散推論基盤で動くチャット AI。無料提供とユーザーデータの再学習ループで持続可能なモデルを目指す。
- Automa Confidential Inference Cloud – TEE 上でモデルとデータを秘匿したまま推論を実行、医療・金融等の機微情報利用を可能に。
- Navi / Astros – デフォルトはレンディングだが、クロスチェーン DEX・自動ファーミング戦略など「流動性ハブ」へ拡張中。
- The Agent AI(Alpha X) – MOE×Transformer で2〜72時間後の BTC・ETH・Sui 価格を予測、正答率 70 % を謳う。
4.ユーザー獲得とオンボーディング戦略
- UI/UX の“非クリプト化”
- Navi はジャーゴン排除・図解重視で小売ユーザーを誘引。
- Navi はジャーゴン排除・図解重視で小売ユーザーを誘引。
- ゲーミフィケーション×報酬
- Alpha X はウォレット接続だけで予測投稿→正確性と継続性に応じてオンチェーン報酬。
- Alpha X はウォレット接続だけで予測投稿→正確性と継続性に応じてオンチェーン報酬。
- エンタープライズ特化
- Automa は医療・法務・金融企業へ「モデルの IP を守りながらオンチェーン推論」を提案。
5.コラボレーションの可能性
- スタック全体の水平連携
- ストレージ(Warus など)↔︎ AI インフラ(GATA・Automa)↔︎ エージェント・アプリ(Agent AI・Navi)という3層モデルが共通イメージ。
- ストレージ(Warus など)↔︎ AI インフラ(GATA・Automa)↔︎ エージェント・アプリ(Agent AI・Navi)という3層モデルが共通イメージ。
- オープン規格づくり
- Agent AI は「エージェント登録簿や検証可能なモデル証明」を Sui で標準化したいと表明。
- Agent AI は「エージェント登録簿や検証可能なモデル証明」を Sui で標準化したいと表明。
- 分単位ストリーミング決済
- GATA は“Stablecoin による即時支払いメーター”を構想、GPU プロバイダーへのインセンティブを高める狙い。
6.Sui 2025 年下期の展望
視点 | 予測トピック |
---|---|
DeFi | Bitcoin L2 連携(Babylon 等)・新たなインセンティブプログラムで TVL 拡大 |
Gaming | Sui Play の正式ローンチでオンチェーンゲームが本格始動 |
AI | Q3〜Q4 にかけてエージェント/データソース/インフラが相互連携し「AI ネイティブ dApp」が増加 |
法人採用 | 機密計算+規制対応に強みをもつ Sui が、ステーブルコイン決済や企業データ活用の足場に |
7.結論
AMA で浮き彫りになったのは「AI × Web3 を成立させるのは単独チェーンではなく、Sui のオブジェクトモデルと分散ストレージをまたいだ協調基盤」というビジョンです。インフラ層が API 互換で“クラウド並みの使いやすさ”を追求し、エージェント層がゲーム性と報酬で“オンチェーン体験”を一般化するという展望が見えてきました。
2025 年下期、Sui で生まれるプロダクトは「AI を使うからブロックチェーンが要る」ではなく、「AI を動かす最短経路にブロックチェーンが組み込まれている」ことが当たり前になるかもしれません!
GATAとSuiの具体的な連携
このAMAの直前、GATAはSuiのMysten Labsが開発したSui上の分散型ストレージプロトコルであるWalrusと正式に統合を発表しています。

発表の概要と背景
Gata(分散型 AI 実行インフラ)が Mysten Labs の分散ストレージ・プロトコル Walrus と正式統合し、Sui 上で「データ生成→保存→推論」までを一気通貫で処理できる体制を整えました。
Walrus は TEE、ZKP、MPC を組み合わせて “プライバシー保護型ストレージ” を実装し、ストレージ容量をトークン化して Sui 上でプログラム可能資産として扱える設計になっています。
技術的に何が変わるか
項目 | 統合前 | 統合後(Walrus 連携) |
---|---|---|
データ保存 | オフチェーンもしくは外部ストレージに個別アップロード | DataAgent が生成したデータを即時 Walrus へ書き込み、URI で参照 |
プライバシー | 通常の暗号化のみ。推論時は復号が必要 | TEE で暗号化されたまま推論。ZKP で「誰が・いつ・どのモデルを使ったか」を検証可能 |
取得レイテンシ | データセンターに依存 | Walrus の CDN/Read Cache が近傍ノードから配信し、遅延を数分の一に短縮 |
コスト構造 | ストレージ課金はクラウド水準 | Walrus ではストレージ容量を WAL トークンでステーク、GB 単価が最大70%削減 |
支払い | 月次・時間課金 | 分単位のストリーミング決済(将来は stablecoin も検討)で即時還元 |
データ可搬性 | Chain 外部の URL 共有 | Walrus は Sui 外チェーンや Web2 サービスからもデータを読み込み可能 |
プロジェクトに生まれる具体的変化
- 真のエンドツーエンド分散 AI パイプライン
データ生成からモデル推論までブロックチェーンと分散ストレージで完結。中央集約クラウドを経由しないため、リージョン制約や単一障害点が排除される。 - データとモデルの同時機密保持
モデル重み・推論入力・出力を TEE 内で処理し、ZKP で「改ざんされていない」ことを証明。医療・金融のような高機密領域でも利用可能になる。 - コスト最適化と収益ストリーム
Walrus はストレージ容量を WAL トークンでステーキングする設計。Gata はこの経済圏を利用し、GPU プロバイダーへの報酬を秒〜分単位でストリーミング支払する仕組みを導入予定。これによりノード参加者が増え、計算リソースの供給曲線がフラット化する。 - 開発者体験の向上
Gata SDK からwalrus://
スキームでデータ保存先を指定するだけで自動的に署名付き URI が発行される。開発者は AWS S3 と同じ操作感で分散ストレージを利用でき、ガバナンスレベルの ZK 証明をオプションで付与できる。 - マルチチェーン展開の足掛かり
Walrus は Sui ネイティブだが、Solana や Ethereum からも呼び出せる設計。Gata が掲げる「チェーン非依存 API」戦略と合致し、他チェーンの dApp でも同じ手順で推論 API とストレージを呼び出せる。 - データマーケットとフェデレーテッドラーニング
ZKP が「誰がどのデータセットを使ったか」を証明するため、企業や研究機関がデータ販売・共同学習に参加しやすくなる。将来的には Walrus 上に “ライセンス付きデータ NFT” 市場を構築し、Gata が推論料を自動分配する構想も検討中。
まとめ
今回の統合は、計算(Gata)+保存(Walrus)+決済(Sui/WAL トークン)をワンストップで提供する仕組みを作り、「AI を動かすときに中央クラウドを使わない」という選択肢を現実的なコストで提示した点が最大の意義。これにより、
- AI スタートアップは GPU・ストレージを即時オンデマンドで確保
- 企業ユーザーは機密データを暗号化したまま推論可
- 個人ノードは余剰 GPU/ディスクを流動的に貸し出し収益化
という三方良しのトークン経済が形成されます。結果として、Gata エコシステムは「トレーニングも推論もストレージもすべてオンチェーンで完結するフルスタック AI レイヤー」へと進化し、Sui を中核に1兆ドル規模の分散 AI 市場を取り込む狙いが現実味を帯びてきたと言えるかもしれません。
今後の展開もさらに期待!
というわけでGATAのAMAまとめでした。