テーマ:LP(流動性提供とはなにか)
Kaia JPの第5回「ゆるDeFi入門 」の内容をまとめました!配信のアーカイブは以下の投稿からも聴くことができます!聴き逃した方はぜひどうぞ👇
また、この配信は定期的に開催しておりKaiaJPの公式teleglamでGiveawayの応募・抽選やスペースのQA回答やリキャップ行なっています!この機会にぜひKaiaJPのテレグラムにもぜひどうぞ!
https://t.me/KaiaChain_JP/
トピック1:なぜ「流動性提供」をするのか(CEXとの違い)
CEXの世界では、取引が成立するための“板の厚み”や流動性は、証券会社やマーケットメイカーなど限られた専門業者が担うのが一般的です。一方DeFiでは、その役割の一部を一般ユーザーが担える構造になっており、資金を預けることで市場の交換(スワップ)を支える側=LPになれる、という点が最大の違いとして説明されました。
ちなみに今回のテーマとトピックスを1枚で図解もしてみました。最初にこれが頭に入っているとわかりやすいかもしれません。

「流動性」って結局なに?
言葉が抽象的で混乱しやすいので、スペース内では複数の角度で言い換えがされました。
・osaさん視点:預けられている資金(プールに入っているお金)
・komiyaさん視点:すぐ換金できる度合い(売りたい時に売れる・価値を現金化できる状態)
どちらの言い方も、「取引がスムーズに成立するために必要な“そこに置かれている資金量”」という点で同じ方向を指しています。
一般ユーザーがLPになるメリット
osaさんの説明では、従来金融(銀行)では手数料の多くが事業者側に集まり、預け手に返ってくる利息は“スズメの涙”になりがちだが、DeFiでは手数料が預け手(LP)に厚く還元される構造がある、という整理でした。
イメージとしては「仮想空間にある大きな金庫(プール)に資金を集め、そこで発生する手数料が参加者に分配される」。この“還元の向き”が、従来金融と逆転している点が魅力として語られました。
トピック2:LPのリスク(ハッキング+価格変動+インパーマネントロス)
LPのリスクは大きく3つのレイヤーで語られました。
・基礎リスク:オンチェーンゆえハッキング等のリスクはゼロではない
・価格変動リスク:預ける資産の値動きがある以上、損益が揺れる
・インパーマネントロス(インパロス):値上がり益を最大化できない“機会損失”が起き得る
インパーマネントロスは「損」なのか?
インパロスは“ロス”という単語で身構えられがちですが、スペース内では「実態は機会損失」と言い換えられました。例として、ETHとUSDCのペアで預けると、ETHが急騰した際に本来ならETH現物だけ持っていた方が得られた上振れ益が、プール内の自動調整(枚数の調整)によって最大化されないことがある、という説明です。
重要なのは、インパロス単体で見るのではなく、手数料収入と合算してトータルでプラスになり得る点で、上昇がゆっくりなら手数料が積み上がり、結果的にインパロスを上回るケースもある、という整理でした。
トピック3:AMMはなぜ革命的だったのか(Uniswap/SushiSwapの文脈)
AMM(自動マーケットメイカー)は、人の窓口や板の管理者がいなくても、プールの仕組みだけで交換が回るようにした“無人の銀行”のようなもの、という比喩で説明されました。これにより、一般ユーザーが資金を預けるだけでマーケットメイカー的な役割に参加でき、手数料収入という形でリターンを得られる土台ができた、というのが「革命的」とされたポイントです。
流動性戦争(いわゆる“ヴァンパイアアタック”)の話
DeFi初期の象徴的な出来事として、Uniswapに預けられた流動性を、SushiSwapがトークン報酬などのインセンティブで引き抜く動きがあり、結果的に“流動性(ユーザー資金)の奪い合い”が起きた、という話が共有されました。
これにより、流動性提供者に報酬を出す文化や、ガバナンストークンを通じて参加者側に権限・報酬を寄せる流れが加速した、という位置付けで語られています。
トピック4:高APYは正義か?(初期の爆益例は“例外”として扱う)
会話の中で、上場直後などに取引が集中すると手数料が急増し、短時間だけAPYが極端に跳ねる局面がある(例:初期の1〜2時間だけ1000%超など)という話も出ました。ただし、これは値動きも荒く、一般向けの基本戦略ではなく「分かっている人が短期で狙う特殊例」として強く注意喚起されていました。osaさんのスタンスとしては、トレードで一発を狙うより、ボラを抑えながら年利で積み上げる発想(例:年30%を狙う)が本筋、という言い方が中心でした。
トピック5:初心者が最初に触るならどこから?(3ステップの考え方)
osaさんから、初心者がLPを始める際の整理として「基本は3つ」と語られました。
- プロジェクト選定 TVL(預かり資産)が大きいなど、上位に来る主要プロジェクトをまず当たりにする。複数チェーン展開、提携、資金調達なども“逃げにくさ”の判断材料。
- プール選定 初心者はまずステーブル同士(USDC/USDTなど)で、値動きとインパロスを抑えつつ「放置で手数料が積み上がる感覚」を掴むのが良い、という提案。
- 実測での検証 フロントエンド表示のAPYは前提条件(狭いレンジ=ワンティック前提等)で大きく見えている場合があるので、「実際にいつ入れて、翌日いくら増えたか」を測って、自分の条件での利回りを確認する重要性が語られました。
具体例:ETHとstETHのような“同一資産系ペア”でインパロスを抑える発想
ETHをガチホしたい人にとって、ETH/USDCのペアは上昇局面で機会損失が出やすい。そこで、ETHとstETH(ETHを預けたレシート的な債権トークンで、保有しているだけで利回りが乗るタイプ)を組み合わせると、価格連動性が高くインパロスを抑えやすい、という話が出ました。
失敗談Q&A:初心者がやりがちな2つの落とし穴
質問パートで印象的だったのは、初期にやりがちな失敗が具体的に語られた点です。
・TVLが小さいのにAPRが高いプールに入ってしまう
人気がない・流動性が薄いプールは、出し入れ時の不利(スリッページ等)も大きくなりやすい。対策として「自分の資金がプールに対して大きすぎない」ことが重要で、目安としては“自分の預け額がプールの10〜15%を超えない”くらいに抑える、という基準が提示されました。結果として、1つに全額ではなく、複数プールに分散する方がリスクヘッジになる、という流れも説明されました。
・表示APRを鵜呑みにしてしまう
特定条件(狭いレンジ前提など)で理論値が誇張気味に見えることがあり、実際の運用で同じ利回りが出ないケースがある。詐欺というより「表示仕様や前提の違い」なので、測って確かめる習慣が大事、という結論でした。
上級っぽく見える用語:LVRは気にしなくていい?(結論の置き方)
LVRについて質問が出ましたが、osaさんは「預け手は基本的に意識しなくていい」という立場でした。複数プール間の価格が合っていくのは、アービトラージボットが差分を狙って調整しているからで、その過程で一時的な歪みや収益の目減りが起き得る。
ただしそれは市場が成立するために必要な動きで、預け手側がコントロールできない領域でもある、という整理です。なお、マイナーなチェーンや流動性が薄い環境ではボットが働かず、歪みが残るケースもあり、その場合は手動で裁定する人もいる、という現場感も共有されました。
最後に:この回の要点まとめ(聞けなかった人向け超圧縮)
・LP(流動性提供)は「取引の裏側を支える側」に回ることであり、それによって手数料収益を得られること。
・AMMによって、誰でも資金を預けてマーケットメイカー的に参加できるようになった。
・インパロスは“損”というより機会損失で、手数料収入と合算して判断する。
・初心者はステーブル同士など、値動きを抑えたプールから始めて感覚を掴むのが現実的。
・APR表示は前提条件で盛られやすいので、実測で利回りを検証するのが重要。
というわけで、ゆるDeFiのまとめでした!
次回の情報やGiveawayへの参加はKaiaJPの公式X、公式TGへどうぞ!

