AMAレポート|AI × RWA — よりスマートな資産、より強い信頼
8月23日にGATA(https://x.com/Gata_xyz)が登壇したAMAがあり、その翻訳要約記事になります!
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AMA概要
Quack AI主催のXスペース「AI × RWA — Smarter Assets, Stronger Trust」では、AIがWeb3とRWA(Real World Assets)をどう結びつけるかを議論。登壇はGATA共同創業者のOliver、ReoxコミュニティマネージャーのIlia、Mind Network共同創業者兼CEOのChristian。
司会はQuack AIのRex。Quack AIはAI駆動のガバナンス層を掲げ、コミュニティの透明性・公平性・参加性を高めることを狙う。
AMA論点のポイント(先に結論)
- 普及の最大ボトルネックは技術ではなく「信頼」
- RWAは分割所有・流動性・透明性をもたらす一方、所有権ハック時の再帰やメタデータ更新責任など制度面が未整理
- エージェントには「アイデンティティ・履歴・支払い・監査」の標準が要る
- プライバシーとセキュリティはFHE等の機密計算で担保可能
- 当面は許可型(準パーミッションド)環境や標準化の進展がカギ
登壇者別の主張と取り組み
GATA(Oliver氏)
- 何を作っているか:分散推論・学習のAPIドリブンプラットフォーム。誰でも計算資源を提供でき、Web2同等のAPI体験を提供する中間レイヤーを構築。
- ユースケース検証:データセット生成のブラウザタッチポイント、複数モデルの回答を横並びで提示するチャットをローンチ。分散推論コスト低下で“無料提供モデル”が成立するか検証中。
- 見解:AIインセンティブは安定通貨収益と親和性が高い。GPUなどの「収益を生むRWA」をトークン化してデータセンター整備を民主化できれば、AI基盤の寡占を崩す一助になり得る。
- 標準化について:エージェントのID、行動履歴のトレーサビリティ、支払い標準は不可欠。これが整えばブロックチェーンはAIスタックの必須部品になり得る。
Reox(Ilia氏)
- 何を作っているか:MCP(Model Context Protocol)系のインフラでAI-to-AIのコンポーザビリティを実現。Reox Studioはノーコードでエージェントを作成・接続。Lens GPTやスマートウォレットなどの実例を展開。
- 主張:AIはWeb3 UXを賢くする。スキャム検知、意思決定補助、事務作業自動化に強み。一方で“AIが何をなぜしたか”が不透明だと利用者は不安になる。Web3は透明性が高く、AIの不信を逆にAIで低減できる。
- RWA観:アクセスの公平性・透明性が長所。ただし規則の未整備、真正性の検証、所有権の複雑さが課題。AIはKYC/ドキュメント処理、価格推定、真正性検査で補助可能。
Mind Network(Christian氏)
- 何を作っているか:FHE(完全準同型暗号)を中核にデータ・エージェント記憶・通信・命令を常時暗号化。DeFi向けにブリッジの前走り/MEV耐性も提供。DAOやバリデータ投票の暗号化で影響力の過度集中を抑制。
- 最大の壁:スケールではなく“信頼”。資産運用エージェントが損失を出した場合の説明責任と救済手段が未整備。
- RWAの具体懸念:トークン化不動産がハックで奪取された場合、オンチェーン所有と現実の所有が乖離し、市場や担保連鎖を攪乱。メタデータの更新責任や即時監査可能性が重要。
- 解決アプローチ:FHEでメッセージや資産メタデータを暗号化し、オンチェーン監査経路を短くする。ZKやMPC、TEEと組み合わせる現実解も当面有効。
- 規格・制度:ERC-3643(RWA向けトークン標準)、Chainlink ACE(自動コンプライアンス)など“勝ち筋”の標準と接続し、許可型領域との橋渡しを想定。
Quack AI(Rex氏)
- 役割:AI×ガバナンスの結節点。低参加・不透明・影響力偏在といったDAOの課題をAIで補正し、スケーラブルで公平な意思決定を目指す。
RWAを巡る利点とハードクエスチョン
利点:
• 分割所有で少額参加が可能、流動性と価格発見が改善、透明性が高い。
課題:
- 所有権ハック時の再帰と市場影響(担保・与信連鎖への波及)。
- メタデータの真正性・更新責任の所在。
- KYC/コンプラ導入と“脱中央集権”理念の緊張。
- 収益がオンチェーンで丸見えになるプライバシー問題。
- 当面の現実解:標準化(ERC-3643等)、自動コンプライアンス(ACE)、FHE/ZK/MPC/TEEの実装、自治体や管轄ごとに異なる許認可実務に合わせた“準パーミッションド”の囲い込みから段階的に外へ。
AIエージェント標準の必要要件
- アイデンティティ:固有IDと鍵管理
- 行動履歴:監査可能なトレース
- 決済:統一インセンティブと支払い仕様(安定通貨が有力)
- ガバナンス:人間中心の意思決定を前提に、暗号化投票や責任分界を制度化
コミュニティと普及
- 信頼の源泉は「技術×物語×文化」の掛け算。創業者が公開の場に出て対話し、プロダクトがベア相場でも“役に立つ”ことが継続率を左右。
- Reoxはノーコードで開発者/ユーザーをつなぎ、GATAは無料利用も視野にコスト構造を実証、Mind Networkはユースケース横断で暗号化基盤を提供——それぞれが普及に必要なピースを埋める。
これからAI×RWAプロジェクトを見るチェックリスト
- 標準準拠:ERC-3643等の採用、KYC/コンプラ設計の方針
- 監査可能性:資産メタデータ/エージェント行動の追跡性
- 機密計算:FHE/ZK/MPC/TEEのどれをどの層に使うか
- 逆境耐性:熊相場でも価値を生むプロダクトユースケース
- ガバナンス:暗号化投票や責任の分界、救済・再帰の設計
用語ミニ解説
- RWA:実世界資産のトークン化。不動産、債券、設備(GPU等)など。
- FHE:暗号のまま計算できる手法。プライバシーと監査性を両立。
- MCP:AIエージェントが外部APIや他のエージェントに安全に接続するための枠組み。
- MEV:ブロック内の取引並び替え等から生じる価値。前走り防止が重要。
まとめ
AI×Web3の技術のボトルネックは小さくなり、信頼のボトルネックが前面に出てきた。
AIはRWAの真正性検証や事務処理、価格推定を賢くするが、所有権・コンプラ・プライバシーの設計が未整備のままでは広がらない。
エージェントの標準化と機密計算の採用、そして人間中心のガバナンス設計が、AI×RWAの“スマートで信頼できる”未来を現実にする鍵である。今回はGATA(分散推論インフラ)、Reox(エージェント実装基盤)、Mind Network(FHEによる機密計算)、Quack AI(ガバナンス)の4者が、その道筋を具体的に示した回だった。